スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ヤマメ


 ゼミの合宿最終日の前日、教授が突然「明日は、一日曇りのようだからヤマメでも釣りに行くか」と言い出した。
 賛同したのは私の他に芳恵と美穂の三人だけだった。
 まだ日の昇らない、夜といっても差し支えのない時間に起こされた私たちは、釣りなどというおじさん臭い趣味に賛同したことを後悔した。
 教授に言わせると水温が低くないとヤマメは釣れないそうで、私たちみたいな素人には日の出前の一時間で曇り日だったら釣れるかもしれないと言うのだった。
 教授の予想は、見事に外れた。釣れなかったのは、教授だけだった。私たちの成果は、芳美が三匹、私と美穂が一匹ずつ釣り上げた。ビギナーズラックという言葉が私たちの頭の中に走ったが、口から出た言葉は「やっぱり実力ですよ」
 「残念でしたね、教授」慰めるように芳恵は言った。
 「なにこういう日もあるさ」そう言うと川で冷やした酒をコップに注いで飲み始めた。
 教授は優しい目で川を眺め、静かに山の声を聞いていた。
 私もそして、芳恵や美穂も教授からお酒をもらい、一緒に山の声に耳を傾けていた。
 「また来たいね」美穂が言った。
 「この次は、彼氏に連れて来てもらうといい」
 「じゃ、ヤマメの前に彼を釣らなくちゃ」私が切実に言うとみんなの笑い声が山々に響き渡った。



関連記事
スポンサーサイト

テーマ : ショートショート
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

SAWAKAWA・SAKI

Author:SAWAKAWA・SAKI
沢川沙樹です。
小説書いています。
たま~に画も描いたりしています。

作者へのメールはこちらから
作者へのご意見・ご質問・ご感想は下記メールフォームをご利用ください。

名前:
メール:
件名:
本文:

最新記事
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
ブロとも一覧
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSリンクの表示
検索フォーム
リンク
携帯版サイトQRコード
携帯で閲覧されたい方は下記QRコードよりアクセスしてください。
QR



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。